消費税率引上げに伴う「建物賃貸借契約書(事業用)」の取扱い

2014.03.06

 2014.3.6

当協会の業務関連書式「建物賃貸借契約(事業用)」の「第4条(賃料等の改定)」では、『賃料等の額については、契約期間中はそのまま据え置くもの』とされています。
平成26年4月1日より消費税率が8%に引き上げられることを受け、改正消費税法に基づき賃料等の改定を行う場合には、「第21条(規定外事項)」等により、消費税が適切に転嫁されるよう、誠意をもって貸主・借主両者協議の上、覚書を取り交わす等、各自ご対応をお願い致します。

~賃料改定をめぐる法的義務~
消費税率の税率が強制的に引き上げられる場合であっても、それに伴って賃料改定をするかしないかは任意とされます。但し、賃借人が賃料改定に応じない場合は、貸主が増税分を負担することになります。
また、逆に消費税率の引上げの対象とならない場合でも、合意によって賃料を改定することは任意とされます。但し、消費税率の引上げに伴って、賃料の改定に応じることが義務であるかのような説明をした場合は、コンプライアンス上の問題が生じる可能性がありますので、ご留意下さい。

なお、国税庁が公表している「資産の譲渡等の適用税率に係るQ&A」では、「契約期間中、賃料等が据え置かれている契約」については、『いくつかの要件に合致する場合、次の更新期日が到来するまで消費税率を5%に据え置くことができる場合がある』と記載がある一方で、所轄税務署によっては、前述した「建物賃貸借契約書(事業用)」の「第4条(賃料等の改定)第2項」の解釈により改定が可能であるとするなど、個別事案ごとに判断が異なっていることが現状です。会員の皆様におかれましては、適用税率については、個別事案ごとに最寄りの税務署等でご確認をお願い致します。

また、今後、消費税率が8%→10%に引き上げられることが予定されておりますので、次のような項目を契約書に明記した上で、契約を締結することが望ましいといえます。

① 自動的に消費税相当額が改定される旨を特約もしくは覚書として明記する。
(例:消費税(地方消費税を含む)の税率が変動した場合は、それに応じて消費税等相当額も当然に変動するものとする。)

② 貸主から賃料の変更を求めることができる旨を明記する。
(例:貸主は、公租公課の増減等の経済事情に変動があった場合には、賃料等の改定を求めることができるものとする。)


※ 繰り返しになりますが、具体的な事例への適用にあたっては、専門家の意見等も参考に個別事案ごとにご検討頂き、最寄りの税務署等にご相談下さるようお願い致します。